沿海州の自動車は90%以上がが日本車、ロシアの道路は車が左側なのですがバスなどを除く自家用車(中古車)は日本製右ハンドル。新車を買う場合は左ハンドルを選択する人が多く。中古と新車の見分け方となっている。 雪が積もることなどから圧倒的にSUV(ヘビーなクロスカンントリー4駆が多い。ランクル、パトロール、パジェロなど。 以前は日本語の看板をそのまま付けた車が多いと聞くが近年はすっかり見なくなったようだ。事前情報よりは綺麗でした。
▲そんな中で見つけた看板車しかも八鹿町高柳と書いてある。後ろに廻るとまたまた八鹿の整備会社のステッカーが・・・・
所有者とツーショット! すこぶる調子が良く故障知らずとべた褒め!!
兵庫県議会派遣としての訪問でしたが、昨今の地方議会事情から調査レポートを作成・提出しました、以下はその部分です。
ロシア連邦ハバロフスク地方と兵庫県は本年友好提携45周年を迎えました。折しもロシアはウクライナに侵攻し、ウクライナ政府と親ロシア派が激しく対立、西側諸国は対ロシア制裁処置を実行中です。 いつ中止になってもおかしくない状況でしたが、スポーツ振興や文化交流がそうであるように民間レベルでの交流は公平中立の立場に立たねばなりません。中央政府の政治政略的判断には従わざる得ない地方自治体ですが、こんな時だからこそ今回の友好訪問に含まれた様々な行事が無事実現出来たことはお互い歓ばねばなりません。
それよりもお盆明けから来襲した台風11号12号による8月豪雨の被害が甚大で井戸知事は記念行事のみ参加、被災地選出の石川副団長は成田から引き返すことになるなど地元の天候を気にしながらの出発となりました。
【在ウラジオストク日本総領事館】
長谷川主席領事から極東ロシアの状況について概要説明を戴いた後質疑となった。領事の説明でのポイントを私なりに羅列すると・・・
中国(清)から当地区がロシア領になって160年が経過した。今は物流の要所だがかつては軍事的要所であったがモスクワから遠いことで極東地区を統治するのに随分苦労していた。大戦以前ウラジオストクは自由貿易港として街が発展した。しかし冷戦時代にはソビエト中央政府は軍事的閉鎖地区として封鎖してしまう。ペレストロイカで自由経済となると対日貿易港として再び発展がはじまる。
特に日本の中古車を輸入販売するビジネスの中心地ですが2008年がピーク、その後関税が引き上げられ現在は1/20の台数に落ちている。自動車だけでなく日本製品への信頼は厚い (日本人への信頼は?)
沿海地方は人口194万人だが年に1万人の人口減少が続いている。理由は厳しい気候や職業に偏りがあることなどが課題、そのためロシア中央政府は当地区を特区指定し住いを無償提供するなどしている。構想は以下4点がメイン
■現在ウラジオストク港はLNG、石炭の積み出し港
■自動車の最終組み立て
■日本式農業・漁業
■カジノ構想
日本への信頼が厚く日本と組んで実現したいのが本音だと感じる。しかし過去に置いてもそうであったように治安や政治の不安定、更に政治制度の激変が大きな不安要素。
■近年ガスプロムは中国への天然ガスパイプライン施設と大口契約を発表したばかり
■武器輸出もアメリカ製と価格価格的優位でインド、中東、中南米に輸出し主要産業
■銅の発掘とケーブル製作、チタンなどの鉱物資源
■木材(原木輸出)
西側諸国の不安材料も上述のように多きい。
ポイント
194万人の商圏の意味するものは、兵庫県人口が560万人弱、つまり神戸市プラスα、そして家計所得が日本の半分とすれば日本市場換算では、100万人商圏に満たないことが解る。 期待は世代構成が日本より若く、それゆえこれからの消費トレンドをコントロールすることができる、また規模的に発展する、あるいは全ロシアへの波及効果がある、などが期待要因だろう。 海外展開を行っている日本のリーダー企業が当地区をマーケットとして進出するには、沿海州規模では小さすぎるのです。また原材料を調達するための拠点とするにもいくつかの課題があります。中国のレアメタル輸出規制のように、ロシア原木輸出関税を8倍にし、製品の関税を低くするなど工業化を一気(無秩序)に進めようとしたことなど(実際には実行不可となった)。どうも政略的判断が両国の国益のための判断に勝っているようです。サハリン2とか苦い経験もありますし。将来期待をどう描けるようにするかが、政治の役割で、特に国家的判断といえども地方政治(議会)の主張の意義とを再整理することが兵庫県も含めて必要かもしれません。
▲普段の買い物はスーパーマーケットではなく市場が主流、常温で捌かれる肉 迫力満点です。市場では日本製品を目のいすることはない、中国韓国製が殆どです。あらゆるものが市場に出店している小さなブースで揃う。ロシア国内ではモノ創りそのものが発展しておらず輸入に頼る現状が見てとれる。
質疑では
Q 原子力潜水艦の処分、かつてオホーツク海を漂流したが?
A 日本とロシアで基金を創り解体作業はほぼ終了した。
Q エネルギー輸出国だがエネルギー利用状況は?
A 主力は電気、熱利用としてお湯をパイプ輸送している。お湯を温めるエネルギーとして近年石炭からガスへ移行している
Q ロシアでの日本の外交体制は?
A 一大使館と四領事館
Q 日本への感情は?
A モスクワは種々雑多、沿海地方は日本思考だと感じる
Q 天候の影響は?
A 冬は-30度、農業が出来ない、観光も厳しい
Q 所得は?
A 平均月収で10万円位 比較的高いが物価も高い 年金は1万~2万円と低い
Q 日本人住民は?
A 自由港時代6000人だったが現在は100人ほど
A ウラジオ領事館で年間10000人に日本行きピザを発給している
北方領土に関しては関心が薄い、遠いからか?
マスコミは政治批判報道が出来ない! すれば潰される
【ハバロフスク日本センター(非営利法人)】
州都であるハバロフスクは、港街であるウラジオストクに比べて建築物に風格がある。どちらの町も半世紀にわたり大きな公共投資がなかったことから風景が変わらない街などと言う外来者が多いと聞く。ただ内陸部で夏の最高気温は30°Cにも達し、冬はマイナス30°Cとウラジオストク以上に厳しい。交通確保のために雪上に砂が大量に捲かれるので、年中埃っぽい。道路も歩道も建物も煤けているのです。気のせいか空気にも微粉末を感じるような感覚を持つ。 しかし町全体は緑が計画配置され良い意味での計画経済下の基本骨格は今でも通用するのかもしれない。
ハバロフスク日本センターでは鏡 芳和所長に出迎えていただき、センターの概要と事業内容の説明を受けました。ロシアには6か所の日本センターがあり、日本文化・日本語・日本の企業活動・企業文化などをロシア人を対象として伝授するのが主だった目的。そのため
1.巡回講座 テーマ別セミナー開催
2. 訪日研修 トヨタ式カイゼン、医療、農業、観光
3.そのた経済交流 等を行っています。日露合弁企業が出来ては消えていたが、その要因はやはり政変との言葉が印象的だった。また最近の市場動向としては、沿海地域の店頭から日本製品の露出が減少してきている。代わってLGサムスン、ハイアールなどの韓国中国製品が増えている。日本製品の高品質は認知されているが、現実には高くて買えないらしい。考えてみるとロシア製とは何が市場に流通しているのか? 市場やスーパーに行けば市民の生活必需品である衣料・食糧・飲料・雑貨のほとんどは海外製品だと気付く。ではロシア産とは何か?ガス・石炭・原木、農産物、一部の車や軍需品(衛生・宇宙船)など数えるほどで、産業化できていないことに気付くだろう。
【在ハバロフスク日本国総領事公邸】
野口秀明総領事と意見交換を行いました。公邸と名がつくには理由があり、単なるオフィースとは違うはずです。野口総領事はここにお住まいのようでした。また会場は会議室ではなく、今回は広い部屋とバイキングスタイルの昼食(日本食)が用意されていました。なんでもシェフは東京から来られたようでハバロフスクの食材と日本から直接取り寄せた和食材を巧みに組み合わせ、来客をもてなすことも氏はおっしゃいませんが大変大きな意味を持ちます。食と会話から感じる当地区に対して抱くイメージは大きいからです。そんな意味で久々の和食、和風ロシア料理(失礼)は大きな役割を果たしたと言えます。もちろん食事を含めたセッティングも野口総領事の指示で、その後のテンポのよい会話も含めて我々訪問団は非常に楽しく有意義なひと時を過ごせました。
▼会談後、野口総領事と
■野口総領事を囲んだテーブルで話題となったテーマを少々
Q ハバロフスク空港の建て替え整備が計画されていると聞く、内容や現状は?
A 外資導入で近代化した空港関連設備の計画提案を受け付けている。韓国や中国から提案があり、利便性が高い空港機能に加え大型商業集積や宿泊施設などが整備方向らしい。
Q 共産主義から経済だけ資本主義を導入した国としては中国が挙げられるが、中国も様々問題を抱えている。ロシアも広大な面積、多民族、資源大国と中国と同じような環境も多い。今後の発展方向はどうか?ソビエト時代から武器・宇宙関連産業が特徴的だが、近年の大学生志向や大学そのものの状況は?
A 大学は国立大学が主流、かつての宇宙工学人気は今なく経済系が一番人気。国家権力のけん引力は軍事・政治以外特に経済には効かなくなっているようだ。また有名な国立大学は基本的に授業料は無料だが、近年は財政難のため、授業料を払えば入学に足る学力に満たない者でも入学できるらしい。
中国の課題は当然認識していると思われる。この国は基本的に自由経済だが、独裁国家的側面も多く、政府批判は表に出ない。
Q 日本との合弁事業は今後発展するのか?
A ソビエト崩壊時の外資導入政策では、政治的治安や経済的安定が保証できるレベルではない時期に一気に進めたんので、法的な未整備がさまざまトラブルの原因となった。またブローカー的な悪質業者も暗躍し、日本人は大分被害にあった。今日では大分裏経済の問題は解決されたが、やはり合法的であることはもちろん、大きなロシア国家組織・地方の習慣を意識することが必要だ。 ~???? 裏利権を察してくれということでしょうか?~
【ハバロフスク地方議会】
チュードフ議長、予算委員長、地方自治委員長、社会経済委員長らと意見交換、ハバロフスク地方議会は選挙後7つの委員会構成となり、4つの政党、議員は半数が小選挙区から半数が政党から選出される。
対日貿易高は現在全ロシアが330億ドルで内、対日分は22億ドル(ハバロフスク地域)
豊岡盆地で野生復帰を果たしたコウノトリ(80数羽)の内半分がハバロフスクから譲り受けたコウノトリの血統。 文化、スポーツ交流から、経済交流を重視する方向に変わりつつある。今回のスポーツ交流団は柔道だが、ロシアでは空手が盛んらしい。
意見交換では双方議員から今までの交流に関する経緯や感謝、今後に関する発言があり、会談しました。まず3.11に関すること、同じくロシア沿海州を襲った大洪水での日本支援のこと。 そしてコウノトリに関することと環境創造型農業の相互普及のことなどがテーマとなった。
【兵庫県・ハバロフスク地方友好45周年共同声明調印式】
45周年記念共同声明の内容は、兵庫県作成資料に譲るとして、一番関心があったのは、ハバロフスク州知事がどんな権限や考え方を持った人物かだろう。容姿はロシアンマフィアを連想させる厚い胸板と鋭い目つきが印象的、井戸知事との雑談では、スポーツ交流大会での柔道成績に触れ、「次回は空手で行いましょう必ずロシアが勝つ!」などと発言し井戸知事も負けじとやり返す場面もあった。工科大学卒でロシア軍ロケット部隊の軍役や米国スタンフォード大学での研修経験もあり、中央政府お墨付きのエリートであることなど井戸知事との共通点も多い。兵庫県との関係においてが本来のテーマであるのだが、以下は彼イワノビッチ・シュポルト ハバロフスク地方知事の挨拶内容です。
・昨年のアムーレ川の氾濫では40000人の被災者がでた。今後の復興対応では優れた兵庫県にその手法を学びたい。
・豊岡市にコウノトリを見に行った、息子も連れて行った。コウノトリを媒体(象徴)とした交流は大変幅が広く有効な交流だと思う。
・両国(両地域か)は今後の貿易拡大へ期待が持てる。
・ハバロフスク地区の海外貿易相手国は、中国、韓国、日本の順に多く、日本向けシェアは9%です。
・輸出は 木材、石炭、水産物
・輸入は 車、食品、設備関係機器
・日本の38企業が当地区に経済投資している、シェアは2%
・今後のハバロフスク地域の投資案件は
特区活用での水産工業
製材工場 木材加工工場(パーティクルボード他修正材)
空港周辺整備
農業(温室複合型)
防災関連
▲調印式の席(事務局長特権?)、飲まなかったロシアンティーが暖かいものに二度交換された
地方自治体、地方議会同士の交流による制約は当然あるのだが、経済交流にシフトしたいロシア側の意向を受けて、今回は様々な経済ミッション団も参加した。具体的な事業連携や商流が起こることが期待される。 帰国直後、ロシアは日本要人の出入国や農産物・食品の輸入規制を実行する一方、中国への大規模なエネルギー供給をパイプラインにより実現される。
沿海州経済特区が日本国家の本格参入により実現することが望まれるが、彼らの日本への期待は技術と資本、では日本の期待は? 多分広大な大地に埋もれる資源と可能性だろう。原材料供給だけするのは帝国主義的に植民地化することに等しい。それではロシアの大国意識が許さないだろう。中国のように世界一のローコスト工場を目指す限界も見えてきた。経済特区だけに偏らない国籍特区のような自由な人の往来と不可侵など独自法整備が求められている。 ~サハリン、北方領土の方が可能性があるか?~