県政・市政だけではない権力行使の行方
~神戸新聞12月20日正平調~
◆今年のノーベル賞授賞式で世界が驚いたのは、平和賞を受賞したベネズエラの野党指導者マチャド氏のノルウェー入りだろう。独裁色を強める現政権により身の危険が及ぶ母国を漁船で脱出、首都オスロで笑顔を振りまいた。
◆受賞こそ逃したものの、今年の平和賞候補として個人の戦争犯罪を裁く国際刑事裁判所がある。所長は赤根智子さん。マチャド氏と同様に赤根さんたちも非道な攻撃にさらされている。
◆ウクライナ侵攻に関してプーチン大統領に逮捕状を出すと、ロシアは報復として赤根さんらを指名手配、先週、欠席裁判で有罪判決を言い渡した。
◆イスラエルのネタニヤフ首相への逮捕状をめぐっては、擁護するトランプ大統領が制裁に乗り出しスタッフの銀行口座やクレジットカードが使えない事態に陥る。
◆戦争犯罪を追及する機関の職員が、まるでテロリスト扱いだ。法の支配などどこ吹く風、大国の政治家が思うがままに力の支配を振りかざす。それも国連安保理の常任理事国の指導者が。
◆制裁の対象にされたからといって刑事司法手続きを中断したり、撤回することは無い。この異常な世界に放つ、赤根さんのまっとうな力強い言葉が私達に正義の存在を教えてくれる。