■質問趣旨 北陸新幹線の新大阪ルート決定


権限財源が別々の構成団体からなる関西広域連合は、多数決で事業決定などを行わない、いわば広域自治組合です。そんな制約の中で一極集中を是正し、首都機能を代替できる関西を目指しています。
だからこそ今、防災庁の関西設置や、国土軸の三重化である北陸新幹線の敦賀以西のルートなどは、関西広域連合として統一的見解を示し国に働き掛けるべきです。 参院選挙後、各政党の発言や京都市の工事に係る様々な声が上がろうとしている今、関西広域連合としてどなんな選択をするのか?何を訴えるべきなのか? 三日月連合長に質しました。
兵庫県議会 藤田孝夫です。
1 北陸新幹線関連で3問伺います(1問1答)
(1) 関西圏域のルート決定について
公共事業とは何処に何を造るのか。いくらの費用を掛けて、いつまでに実現するのか。そしてそれが将来にわたって地域社会にどのような役割を果たすのか。これらを想像し、議論することこそが、地方自治の根幹であると考えます。では、こうした公共事業の意思決定は、誰が担うべきなのでしょうか。国が決めるべきなのか、それとも府県が主体となるべきなのか、改めて問い直す必要があると感じております。
北陸新幹線のルート決定については、関西広域連合として平成25年、「小浜ルート」「湖西ルート」「米原ルート」について検討した結果、米原ルート案が最も優位であると結論づけ、米原ルート案を前提とした取り組み方針を作成しています。
しかしながら、敦賀大阪間については、平成29年3月与党PTにおいて米原ルートでなく、小浜京都ルートに決定されました。そして現在、R7年7月に実施された参議院選挙の結果を受け、与党PTメンバーに入れ替えが生じる可能性があります。実際に、一部の議員からは、既存の計画とは異なる「別ルート案」を推す発言が一部報道されており、政策の方向性に揺らぎが生じているのであれば懸念材料です。
こうした状況を踏まえ、地域の将来に関わる重要な公共事業について、出来れば関西圏域の経済団体や、北陸地域自治体と方向性を揃え関西広域連合としての意見が一致することが一番望ましいと思われます。
「関西広域連合として与党PTが仮にルート再検討された場合は、どのような試算条件か等を注視したい」と三日月連合長は8月議会で答弁されていますが、こんな時だからこそ、国土の双眼構造の推進に欠かせない東京大阪を繋ぐ国土軸の3重化、関西への防災庁設置等、総合的に判断すべきと思います。関西広域連合エリアの発展としてはどのルートがベストと考えるのか連合長のお考えを伺います。
≪ 三日月連合長答弁 ≫
1 北陸新幹線は、利便性の向上や、これに伴う経済効果だけでなく、大規模災害時における東海道新幹線の代替補完機能としての役割も期待されており、災害に強い強靭な国土づくりに必要不可欠な国家プロジェクトである。
2 敦賀以西のルートについては、速達性、利便性等を総合的に勘案して、平成29年3月に与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームが、小浜京都ルートに決定しており、関西広域連合は、これまで、大阪までの一日も早い全線開業を目指し、政府・与党への働きかけを行ってきた。
3 そのような中、米原ルートや舞鶴ルートを含めて、ルートの費用対効果等を再検証する意見が出されており、また、10月に発足した新政権では、今後、与党における新たな枠組みでの検討体制を設置することとされている。
4 関西広域連合としては、この新たな検討体制において、ルートを含む、諸課題の解決に向けて、建設的な議論を進めていただき、北陸新幹線の整備における政府・与党の方向性を早期に示していただきたいと考えている。
≪ 藤田コメント ≫
国PTの以前の決定案がベストと答弁いただいたと感じます。
(2) 関西広域連合内での合意形成について
北陸新幹線は、首都圏、北陸圏及び関西圏をつなぎ、各地域間の交流・連携を強化し、我が国のさらなる成長・発展を支えるとともに、東海道新幹線、リニア中央新幹線とあわせて、東京・大阪間の2大都市圏をつなぐ国土軸の3重化により、首都機能のバックアップ体制の整備、大規模災害に強い国土形成にも資する極めて重要な高速交通インフラです。
安全性を考えれば東海道新幹線で自然災害関連停止が多い岐阜・静岡とは別ルートで東京大阪をダイレクトに結ぶ方が安全性が高く、また車両配置や運行ダイヤにも有利であることは間違いありません。
北陸新幹線の敦賀・新大阪間は、日本の持続的な成長や国土の強靭化、東京一極集の是正の観点からも早期着工、早期全線開業が必要不可欠です。
関西広域連合として北陸新幹線の新大阪駅までの1日も早い全線開業の実現に向け、国PTへの総合的な要望や官民が一体となった啓発活動で機運の醸成に更に取り組むべきと思います。そのためにもまず関西広域連合内で意見集約が必要ですが、関西広域連合内の合意形成はどのように図っていくのかいかないのか?今後の方向性とスケジュールを伺います。
≪ 三日月連合長答弁 ≫
1 関西広域連合はこれまで、政府・与党に対して継続的に要望活動を実施しており、その中で
・地下水への影響など、地元関係者の懸念や不安を払拭するため最善を尽くし、早期に詳細な駅位置・ルートを決定すること
・安定的な財源の確保や費用対効果について検討を加速し、着工5条件を早期に解決すること
・認可・着工及び全線開業に向けた具体的なスケジュールを明らかにするとともに、工期短縮にも最大限努めること
などを、沿線自治体、経済団体等と共に要望してきた。
2 現在、与党において、新たな検討体制の設置の動きがあるため、その中で、ルート再検証が正式に実施されるのか、諸課題の解決に向けて、どのようなスケジュールで議論を進められていくのか、その動向を注視していきたいと考えている。
3 その検討状況に応じ、関西広域連合としての取組の方向性、国等への働きかけの内容について、構成府県市の意見を十分に踏まえながら、整理、判断してまいりたい。
≪ 藤田 コメント ≫
広く解釈できる答弁ですね。
(3) 地元の負担軽減について
新幹線が乗り入れることの経済効果、文化交流、防災リダンダンシーの確保は北陸新幹線や東北新幹線などで顕著に出現しています。江戸時代の五街道他、その主要な街は交通の要所であり、それらは土地の形状や地形・産出物や地政学的に動かしがたいところであり、それゆえ歴史的に文化経済政治の中心として今日まで発展したわけです。時代が変わりオーバーツーリズムや大型インフラ整備の及ぼす自然環境変化など、大地への人為的介入で変化させることを良しとしない、もうこのままで良いんだと考えるのは間違っているとは言えませんし。もし地域の将来に渡る責任ある総意であるなら尊重すべきです。
もし仮に京都市内を北陸新幹線が通らないと決定するならば、東海道新幹線と北陸新
幹線が立体交差で新大阪に入るルートもあり得ます。また小浜から更に西に延伸し舞鶴から京都市内を外して新大阪へと繋げる西ルートの西ルートなら土地価格が高く、地下工事も難航が予想される京都市内を迂回することで建設費用を軽減し開通時期も早まるかも知れません。
そうなれば1973年に決定されながら中断している山陰新幹線を福知山起点か舞鶴起点で西に向かい朝来市、豊岡市城崎を経由して当面鳥取市、米子市までを推進するのは如何でしょう。フランスTGVのように在来線と線路幅を同じにすることで専用線路と在来線路の両方を活用しコスト圧縮と高速化も視野に入れるべきかも知れません。
機能が集中する都市と多自然地域との相互関係をどうバランスさせるのか、という国土形成のあり方を考える時期かもしれません。そのためにも新幹線整備に係る地元自治体の負担という考えについては、国土軸の形成や防災・減災機能向上等、国家全体の受益を数値化した上で、その分を差し引いて地元負担を軽減すべきであると考えます。この視点は、関西広域連合の新幹線ルート決定要望の重要な要因だと思いますが、所見を伺います。
≪ 三日月連合長答弁 ≫
1 北陸新幹線などの整備新幹線は、建設主体の鉄道・運輸機構が施設を建設・保有し、営業主体のJRが施設を借り受ける上下分離方式がとられている。また、建設費用のうち、JRより支払われる貸付料等を除いた費用については、国が3分の2、地方が3分の1を負担することが、全国新幹線鉄道整備法等の法令により定められている。
2 北陸新幹線の建設事業費については、物価上昇等の影響もあり、当初の試算より大きく膨らんでいる状況であり、関西広域連合としては、これまで政府・与党に対して、沿線自治体の負担が最小化されるよう、より一層のコスト縮減や、国家プロジェクトにふさわしい十分な財政措置を講じることを求めてきた。
3 国土交通省においては、今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する有識者会議が設置され、第1回会議が、11月6日に開催されたところである。来年夏頃の取りまとめに向けて、今後、貸付料の徴収期間、算出方法のあり方等の議論が進められると承知している。
4 貸付料の見直しは、沿線自治体の負担額にも大きく影響するため、この有識者会議の動向も注視しながら、引き続き、沿線自治体の費用負担の軽減について、国へ働きかけてまいりたい。
≪ 藤田 コメント ≫
連合長は地元負担3分の1のことを言われましたが、その3分の1を含めた合計整備金額の算出根拠が(費用対効果 採算性=経営的収支・C/B )が問題です。
北陸新幹線建設に必要な京都ルート3案では工期20年から30年、建設費3.4兆円から3.9兆円、完成までの物価上昇を加えると4.8から5.3兆円に跳ね上がって試算されています。はて・・・ マジックですね
ですからインフラ整備に関して言えば、多自然地域は順番待ち、関西圏域もこの仕組みではいつまでたっても順番が回ってこない状況になってしまっています。
建設費が2倍になると「費用対効果」が半分になります,北陸新幹線の「敦賀-大阪間」については,費用対効果(B/C)がほぼ1ギリギリと公表されていた。
国交省が社会的割引率の設定を見直して例えば2%で再計算すべきと関西広域連合で公表しても良いと考えられます。
■少し想像たくまし過ぎたかもしれませんが、関西広域連合15周年ゆえとご理解いただければ幸いです。これで質問を終わります。
