兵庫県議会議員みなみ但⾺選出 藤⽥ 孝夫(ふじた たかお) オフィシャルサイト

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藤田孝夫

兵庫県森林大学校開校

兵庫県森林大学校が本日開校しました。名誉学長には元林野庁長官の皆川芳嗣氏、特名大使に登山家医師の今井通子氏を迎え、学長には元兵庫県農政環境部林務課長の築山氏がそれぞれ就任されました。
林業と名乗らず森林と唄っているところに本学の特徴があります。それは林業施業者としてマネジメントできる能力育成に加え、環境、生物多様性、治山治水、ジビエ料理、アロマセラピーなど森林に関する総合的な力を育成することです。
さて日本の林業は歴史的に面白い(失礼)局面を迎えています。
歌川広重の「東海道五十三次」や葛飾北斎の「富獄三十六景」に描かれた日本の山はよく見ると実はハゲ山です。人里近い山の木は、燃料、建材として利用尽くされていました。戦後、主要燃料が石油へ、建築用材も輸入へと切り替わり、中山間地の木材関連産業は淘汰されました。森林を管理する経済的合理性が失われ、半世紀にわたり、手つかずの成長する森林は、時に河川をせきとめたり、集落を襲ったりし、厄介者扱いされてきました。豊かな自然を誇る日本人意識とは裏腹に山地防災は我が県でも喫緊の課題です。現代人と山の距離はどんどん離れています。
 日本は、国、地方合わせて1,000兆円を超える長期債務残高をため込みましたが、同時に50億立米の森林資源も蓄えました。林業とは複雑な地形やさまざまな樹種、樹齢が混在する山から伐採、搬出など行い、一定品質を維持する高度なマネジメントを要する産業です。資源立地で裾野が広い林業の繁栄は先進国の証でもあり、特に北欧で盛んですが、ドイツ、オーストリアでは、林業は最大雇用産業でもあります。赤穂と朝来、そして丹波で計画されている木質バイオマス発電は、自然エネルギー買い取り制度と、森林の間伐という二つの公的補助を受けながら、年間17万立米以上の未利用木材を20年間絶やさず燃やし続け、電気にかえる壮大な取組です。
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これは50年、100年単位の計画性を持って、間伐、切り出し、植林を行う持続可能な森林経営を描ける好機の到来でもあります。また、木材の活用にとどまらず、治山治水、水源涵養、温暖化ガス抑制、生物多様性など県土を豊かにする副次的効果も見逃せません。そして何よりも原材料立地の内需型産業であることから、地域経済への貢献度は特に大きく、中山間地の地方創生の一翼を担うと期待は高まります。  
しかし、必要とされるバイオマス燃料は、三つの工場稼働時17万立米以上ですが、チップにすべきB・C材と建材に使われる等級の高いA材の植生・切り出し割合は3:7であることから、バイオマス燃料チップ17万立米を獲得するには約40万立米の搬出が必要です。(ロス計上無しの単純計算)兵庫県の年間伐採量は約38立米のでは足りないことになります。また、冬は伐採できないことや、木材の水分調整期間が必要であることから、県内の森林組合や素材業者、チップ業者など51社で供給協議会を設立し、木材搬出計画を立てると聞きます。しかし、バイオマス発電の必要量に対する供給量には大きな不安が残ります。理由は、公的な補助金間伐を主体に、ぎりぎり採算を合わせてきた森林組合は、木材搬出作業班を施業プランナーなど人員が足りていないからです。  
森林組合の従事者年齢は、60歳以上比率が31%、雇用形態も季節雇用や非正規、また伐採だけを請け負う雇用形態などさまざまです。若い人が林業を目指す緑の雇用制度もありますが、就業人口の増加には至っていません。バイオマス燃料用材の切り出しに執着することなく、同じ森林に混在する優良な木材も併せて搬出利用する総合計画を立て、先進国並みの森林管理と、産業としての林業を目指すべきです。それには施業プランナーと森林作業士の賃金アップと林業従事者の技術力向上などの社会的地位向上が不可欠ですし、持続可能な森林経営が重要です。
森林大学校は、以上のようなタイミングで、最も重要なリーダー人材育成を林業にとどまらず広義の森林として幅広く能力育成を図る機関です。
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